オススメ度 ★★★★☆ 4/5
ペン型のコンピューターのアイデアを思いついた、起業して実際に製品を作ることを決意する。
先日読んだ「社長失格 ぼくの会社がつぶれた理由」でその著者が、失敗したことを本に遺すきっかけとなったのが本書ということで、たどり着いた。
著者はペン・コンピューターを実現するためにGOという会社を立ち上げる。しかしすぐにIBM、アップルやマイクロソフト、AT&Tなどの名だたるIT起業が探りを入れたり、そのアイデアから利益を得ようと近づいてくるのである。
登場人物が多く、法律的な話も多く入ってくるのでなかなか細かいやりとりまではわからないが、当時のIT業界の勢力図はわかるだろう。IBMはすでに動きの鈍い大企業になっていたことが読み取れる。アップルは残念ながらスティーブ・ジョブズのいない期間なので、ジョン・スカリーの記述が多いが、それでもアップルは、当時から良いものを良いとする企業だということがわかる。また、ビル・ゲイツのマイクロソフトは、当時から、著作権に引っかからない範囲で良いものを模倣し、強い企業を作っていくというスタイルだったことが伝わってくる。
中盤からは「1兆ドルコーチ」の本でも有名なビル・キャンベルがやがてペン・コンピューターのCEOになる。本書から垣間見えるわずかなその言動からも、ビル・キャンベルが情熱的で熱いリーダーだったことがわかる。
資金調達だけでなく、契約書の細かい一字一句のすり合わせなど、経営者はこんなにも多くの事柄に対応しなければならないのかと改めて驚かされた。それでも、こんな風にすべてを捧げても惜しくないと思えるような、情熱を注げる仕事に人生を費やすことを幸せだろうと感じた。
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